2022/09/08~13 山小屋お助け隊 池ノ平小屋滞在レポート

 



奥劒 池ノ平小屋に今年も行ってきました。同志会としての池ノ平小屋訪問はこれで3年目になります。


1回目の2020年は、コロナ休業と、ヘリ会社との契約ができずヘリ荷揚げが不可能になるという大問題が重なった年でした。その厳しい事実を知った我々は、8人(岡島、中島、鈴木ち、小沼、肥塚、岡村、小川、宮崎)で山小屋ボッカ隊を結成し、100㎏の小屋資材を担ぎ上げました。小屋滞在時間はわずか24時間でしたが、石垣の撤去、屋根や壁木部のペンキ塗りをお手伝いしました。

2回目の昨2021年はヘリ荷揚げ問題が解消したため、私たちは4人(中島、肥塚、岡村、宮崎)で小屋入りし、登山道整備のお手伝いを少しして、小窓氷河ツアーにも参加しました。

そして今年。今回はモリクミさんが小屋スタッフとして入ることになり、往路はアテンドのため一緒に小屋入りました。私はそのまま小屋に5泊して、できるだけ小屋の作業の手伝いをする予定です。

●1日目(9/8)
仙人谷ダムから雲切新道を登り、仙人温泉小屋(雪崩で倒壊)から仙人谷の登山道を詰めて池ノ平小屋へ。小屋へのお土産入りの私のザックは重く(18~20㎏?)、なかなかペースが上がりませんが、ときどきモリクミさんとザックを交代しながら担ぎ上げました。モリクミさんは佐渡トライアスロンのアストロマンを完走してわずか中4日(おそるべき回復力!)。仙人谷の雪渓通過箇所は1カ所だけで、チェーンスパイクを付けてササッと通過しました。まだ雪渓が崩壊しそうな雰囲気はありませんでした。
小屋到着は17時すぎ。小屋を守るボランティア団体「モンロー会」の中心で動き、実質的に小屋を管理運営している伊豆田夫妻と、同志会メンバーでモンロー会メンバーにもなっている小川くんに迎えられました。





●2日目(9/9)
<モリクミ>
この日から小屋スタッフ(小屋番)です。トイレ掃除、ゴミ処理、部屋掃除をはじめ、お客さん対応、食事作りなどの一切を覚えないといけません。小屋ボランティアスタッフというか実質上の経営者である伊豆田夫妻から教わりながら経験を積んでいきます。特に営業山小屋としての通常業務は陽子さんがメインで回しているようで、陽子さんから教わる部分が大みたいです。

<ミヤザキ>
今日は雨のため外作業ができません。この日は小川くんとともに俊さんに付いて、小屋内の配線改善作業を手伝いました。山小屋の生命線は平地の家と同じく、水と電気です。電気については、発電機とソーラーパネルの2系統で発電し、それを私にはまったくわからない配線やボックスでつないで使用しています。発電機は大容量が必要な時間帯やバッテリー充電が不足しているときだけ回すみたいです。
今回は、録画機能付きテレビが24時間電源切れが起きないように配線を直す?作業です(ちなみにBSしか入らない)。見たい番組を録画予約していたのに、その時間に電源が入らない状態だと録画ができてなくてガッカリ……、てことがないように、つまりスタッフの福利厚生向上のための作業です😁 なんかよくわからないヒューズを外したり付けたり、何の配線かわからないケーブルを引っ張ったり押したりなどの作業でした。
俊さんは幼少時から家電を分解修理するなど電気好きだったそうで、小川くんも車のメカニック経験があり12ボルト系はよくわかっているようです。本格的に小屋を手伝うなら電気系の知識や実務経験が必須だと感じました。山小屋に限らず、古民家DIYなどをやるつもりの人は電気系の知識を身につけましょう(もちろん私も)。


●3日目(9/10)
<ミヤザキ>

・まずは平ノ池周辺の歩道整備。支柱を立てロープを張り、草刈りも少し。チンネの裏側でヘリがレスキューしているのが見えていました。

・お風呂の壁の補修。内風呂の建物は小屋閉め時に分解し、小屋開け時に組み立てます。壁・床・屋根は廃材利用のため見た目ボロボロです。内部も古びたトタン板とべニア板が丸見えで見映えがよくないので、倉庫に眠る使い古しの壁板を再活用してパネル状に組み立てます。寸法出しも細かい加工も俊さんが全部やるのですが、それでも人数は1人より2人、2人より3人いたほうが捗るようです。私も少しだけ作業スピードアップに貢献しました。結果、入浴者目線からの見映えはだいぶよくなりました。ちなみにこの内湯からは八ツ峰の大パノラマが一望です。小屋宿泊者だけでなくテント泊の人も入浴できますよ。我々も毎日入れます。幸せです。
・物置き小屋の部材チェック。1.5間×2間くらいの物置き小屋で、既に土台までできています。なにしろ世界有数の多雪地帯、春には数メートルの雪の下敷きなる場所に建てるわけで、メチャクチャ頑丈な設計になっているはず。俊さんがCADで設計し、下界で木組みを加工してからヘリで上げていますが、部材がちゃんと揃っているか、ほぞ穴の位置や大きさは間違ってないかなどを、実際に部材を出して並べてのチェック作業でした。


●4日目(9/11)
<ミヤザキ>

物置き小屋の組み上げ作業です。柱を立て、梁、母屋、垂木を乗せ、屋根にべニア板を被せ、その上に防水シートを張るまでの作業を一気に行ないました。かなりな力仕事で腹が減り、夕方には低血糖でフラフラになりました。

ちなみに小屋での食事ですが、5:45ごろ朝食、10時ごろおやつ、12時ごろ昼食、15時ごろおやつ、18時ごろ夕食、という食生活です。一日じゅう体を動かしていると自然とおなかが空きますね。食事やおやつの準備はすべてやってもらえるので、私たち男性陣は力仕事に集中できるというわけです。ありがたいことです。


●5日目(9/12)
<ミヤザキ>

 物置き小屋の続き。土台と柱、柱と梁など、ありとあらゆる接合部を金物で固定していきます。金物を入れる前に木部を刻む作業があり、これがなかなか面倒です。トリマーで削り、ノミで仕上げる作業に没頭しました。俊さんに教わりながら、これまで知らなかった仕事が少しずつできるようになるのは快感ですね。
 あとは釘打ち。金物の固定と壁のべニア打ち付けで、いったい何本の釘を打ったか? ハンマーを持つ右腕が何度パンプしたことでしょう。
 しかし、昨日朝まで土台しかなかった場所に、壁も屋根もある建物がしっかり建っているのを見ると気持ちがいいですね。私が手伝ったのは小屋建て全体の作業からすれば数十分の一くらいなもんですが、次に行ったときにちゃんと建っててくれると嬉しいでしょうね。


なおこの日の昼食はモリクミさん特製、大豆ミートのキーマカレー。伊豆田夫妻も小川くんも、もちろん私も絶賛のお味で、まあ食の進むこと! 大量にあった十六穀米ごはんとキーマカレーが完全になくなりました! 限られた食材と昨日の残りものを組み合わせ、飽きずにおいしい食事を提供できるか、モリクミさんは毎日チャレンジしているみたいです。


●6日目(9/13)
<ミヤザキ>
私は早くも下山の日となりました。7時半に皆さんとお別れして下山開始しました。8日に上を歩いた雪渓がかなり危険な状態になっていました。仙人谷は歩く人が極端に少なく、道の整備状態もよくないし、小屋スタッフや山岳警備隊によるチェックも毎日入るわけではないため、自力で適切な判断ができることが大前提です。私が滞在していた間だけでも、仙人池ヒュッテ~仙人温泉小屋の登山道でヘリレスキューが2件ありました(ついでに言うと北方稜線でも1件のヘリレスキューあり)。


【まとめ】
過去2回と違い、小屋にある程度長く滞在することで、小屋の仕事をいろいろ体験できました。今後ですが、電気回りの勉強をはじめ、水を引く、お風呂の設備の勉強、北股登山道整備、小屋開け、小屋閉め、ヘリ荷上げ手伝い、テント場フラット化計画、小屋入り口付け替え、ウッドデッキテラス製作などなど、やってみたいことがたくさんあります。
営業している山小屋で、ここまで多岐にわたる仕事を手伝えて、仕事を覚えられる山小屋なんて、他にないのではないかと思います。それも裏剱の大絶景の中で、です。
携帯の電波がなかなか入らないのは難点ですが。

そして今日も、小川くんは力仕事と電気関係を中心に手伝っていることでしょう。モリクミさんは小屋の営業にかかわる業務全般をどんどん身につけていることでしょう。あー羨ましい😆

また近いうちに訪問いたします!


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