[9/19-21、北アルプス剱岳・池ノ平小屋訪問]
去年9月に続き、今年9月に池ノ平小屋へお手伝いに行ってきました。ほんとうは7月に今年1回目の訪問を計画していたのだけど、悪天で中止にしたのでした。 今回は、去年行った8人のうち4人が参加。他の1人は小屋のスタッフとして働いていますw 去年、池ノ平小屋は休業していて、そのうえヘリ会社から契約を打ち切られ、食材も小屋補修の資材も荷上げが一切できない状況だったので、我々の役目は資材のボッカでした(塗料、薪、金具などなど)。荷物は重く、剱沢雪渓も雪が極端に少なくて歩きづらく、ペースを上げられないため、室堂から真砂沢ロッジでのテント泊をはさみ、2日かけて池ノ平小屋へ入ったのでした。 いっぽう今年は、新しいヘリ会社と契約できて荷上げが順調なため、ボッカの必要はなくなりました。なので、我々の仕事はボッカではなく現地での手伝いです。ほんとは18日(土)から入りたかったのだけど、台風通過中のため入山を1日遅らせました。そのため現地で手伝えるのはわずか1日だけです。
◆9/19(日) 室堂→池ノ平小屋
前夜23時に高尾駅へ集合し、車で扇沢の無料駐車場へ。2:30ごろ着いたが、無料駐車場はすでに9割がた埋まっている。車内で4人で仮眠するが、あんまり眠れず。
関電トンネル電気バスは始発の6:30発を事前予約していて、無事に乗れたのだが、ケーブルカーとロープウェーの乗り継ぎで少しずつロスして、室堂出発は8:35となった。
室堂ターミナルを出発 |
天気は快晴で風もなく暖かい。ボッカがないので荷物も軽く、水場が豊富なので水は500mlしか持たない。そのため私のザックは13㎏くらいと去年の半分以下。これでもテント・シュラフ類やお土産は入っている。
剱沢キャンプ指定地上から見る剱岳 |
剱御前小屋を越え、剱沢キャンプ場へ下る。富山県警剱沢派出所で「お世話になります、池ノ平小屋の者です~」とご挨拶。剱沢雪渓の状況を丁寧に教えていただいた。ここでお土産のなかでいちばん重い「柿」をお渡しし、一気に1㎏ほど軽量化ww
剱沢派出所前に掲示してある最新登山情報。必ず確認を! |
ザックが軽いのでみんな足取り軽く、平蔵谷出合~長次郎谷出合間のスラブも楽々通過。去年、初背負子+初30㎏ボッカでスラブの下りにめちゃ苦労していた仲間に大笑いしたのを思い出しつつ、「やっぱり軽さは正義だよな」と痛感する。
スラブ帯の通過。雪渓がつながっている時期は通らない |
去年は長次郎谷出合の下で剱沢の雪渓がぱっくり割れていて飛び石徒渉したが、今年はまだまだ雪がたっぷりで雪渓上を歩いて渡れた(念のためチェーンスパイク装着)。
真砂沢ロッジでご主人の坂本心平さんにご挨拶。
坂本心平さん。今年もお元気そうでよかった |
三ノ沢は雪渓が完全になくなっていたので問題なく通過。その後は眠さと疲れが出てきて、二股から仙人新道の標高差550mの登りはひたすらツライ。夕方になり気温が下がり、伊豆田陽子さんが出てきて出迎えの鐘を鳴らしてくれるなか、1年ぶりの池ノ平小屋に17:45着。
夕焼けの池ノ平小屋へ到着 |
テント場にはかなりのテントが張られていて、我々は空いているスペースに設営。張り終えたころにはすでに暗闇に近く、急いで夕飯を作って食べる。その後は小屋から伊豆田夫妻、スタッフのリタさん、そして白馬頂上宿舎テン場から黒部川を越えて18:45に到着したあやっちも合流し、ごく短時間の宴会タイム。20時に終了して20:15に就寝。満月?が明るい夜だったけど、睡眠不足もあって爆睡した。
ひとまず乾杯を |
◆9/20(祝) 小屋滞在
5:30起床。少し雲があるがおおむね好天。まわりのテントはほぼ消えていた。ソロの人がけっこうたくさんいたのだが、かなりの割合が「北方稜線」へ向かったようだ。ここにテントを張るのはバリエーション志向の人が多いってことなのだろう。
7:00、小屋スタッフ・リタさんのガイドによる「小窓氷河」ツアーに出発。一般登山道から離れ、小窓氷河の上を歩いて戻ってくる、所要3時間ほどのミニツアーだ。ヘルメット・ハーネス・アイゼン・ピッケルは小屋の備品を貸してもらえる。氷河認定された小窓氷河の上を歩けて、裏剱の八ツ峰やチンネにぐっと近づける楽しいツアー。来年、池ノ平小屋へ行く人は少なくとも2泊して、小窓氷河ツアーに参加してみてはいかがだろう?
小屋のヘルメットとハーネスを装着 |
小窓氷河へ乗り…… |
遊びます |
9:50帰着後、少し休憩してからいよいよ労働タイム。
まずは小屋南側の石垣を崩した石がちらばっているのを片づけて積み上げる作業。散乱している小石がせっかくの広場を狭めているし、小屋宿泊者はサンダルで出てくるから石が転がってると危ないのだ。大石・小石をちょっと移動させるだけの作業で、高曇りで気温も高くないのだけど、すぐに汗が噴き出る。けっきょくこの作業は30分か40分くらいで終わったのだが、中腰で下を向きながらの作業は意外にきつい。そもそも屋外の作業でラクなものなんてないのかもしれないけど。
大石・小石を積み上げる作業。地味にきつい |
絶景のなかの休憩時間が楽しい |
お昼休憩を挟み、午後は平の池~泣き坂~北股雪渓の登山道の整備に向かうはずが、その前に伊豆田さんが作っている北側窓の庇を取り付ける作業を手伝うことになった。2×4材で作った枠に、屋根材にポリカを張ったものを3m近い高さに取り付ける作業だ。客室北側の窓には庇がなく、雨風の日は換気がしづらいのを改善したいということだろう。小屋の壁に垂木を打ちつけ、それに庇を乗っけて固定し、支柱を2本立てて支えとする作業だが、これは1人2人ではできない。最低でも4人は必要だろう。「天気もいいし、作業者もたくさんいる今のうちにやってしまいたい」と伊豆田さんが考えるのも当然だろう。
庇といっても、けっこう大きくて重いよ |
装着完了後、いよいよ登山道整備へ出発。去年は平の池にも行かなかったので、私としては1986年以来35年ぶりの再訪ということになる。35年前は平の池の畔にテント場があって、そこに1泊したと記憶している。そして、北股雪渓を下り、ザレ場を通って二股へ抜けた。仙人新道ができる前は、この北股雪渓を通るルートがメインの登山道だった。今は通る登山者が少なくなり、整備状態もあまりよくないため、道は歩きにくくなっている。
整備作業中の写真はほとんどなし(両手が塞がってたので)。 これは草刈り終了後の登山道 |
今日の作業は、倒木を除去し、草を刈り、足場の悪い箇所にトラロープを張り直し、足場を切って、ピンクテープを付けて、という作業である。私は草刈り鎌と鍬を持って作業したのだが、もう、汗が止まらない。泣き坂を下りながら整備をして、北股雪渓でちょっと休憩。今度は引き返し(登り)ながら、先頭の伊豆田さんがチェンソーで切った倒木を除去しつつ、草刈りしつつ、トラロープを結んでいった。それだけといえばそれだけなんだけど、これが全身運動で、体力を出し尽くして小屋に戻ったときは「やり遂げた!」感に満たされていた。
達成感に満たされ、気持ちよく乾杯したのだが…… |
もう、ちょっと暗くなりかけていたし、ひとまずビールを飲んだし、あとは「お風呂で汗を流して(池ノ平小屋にはお風呂があるのです!)、就寝時間までのんびり過ごそう」とくつろぎかけていたのだが、なんと!少し先に小屋へ戻っていた伊豆田さんが「2つ目の庇を今日中に付けちゃいたい」とおっしゃる。はいはいそう来ましたか、せっかくだからやっちゃいましょうw
交代でお風呂に入りつつ、上がったらすぐ作業に参加。途中からヘッドライトを点けての作業となり、終わったころは真っ暗。それから小屋の皆さんと団らん。それにしても今夜も交流の時間が短かった。
2つ目の庇を取り付け後、やっと夕食&団らんタイムw |
20時すぎにテントで就寝したが、昨夜9時間も寝たためか、満月が明るいためか、全然寝付けなかった。
◆9/21(火) 池ノ平小屋→仙人谷ダム
朝焼けの八ッ峰をバックに |
今日は仙人池ヒュッテ→仙人温泉小屋→雲切新道→仙人谷ダムへ下る。仙人温泉小屋の先で仙人谷を渡る雪渓の状態が気になったが、仙人温泉小屋の方が雪渓をカットして階段状に整備してくれたおかげで問題なく通過できた(念のためチェーンアイゼンを装着)。雲切新道を通るのは初めてだったが、意外に歩きやすく整備されていて、この区間はコースタイムを大幅に短縮できた。
仙人池からの八ッ峰 |
仙人谷の雪渓を渡るところ |
雲切新道の下り |
仙人谷ダムへ到着。お疲れ様でした! |
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